03 東方 | back | next | top |
ここのところ雨続きで、何となく気が滅入りがちだ。気温の差が激しいから、体調を崩す生徒も多いし、保健医としては気を揉むな。 新渡米としては、連日太陽を浴びないとどうなるんだ?最近足繁く音楽室に通っているのようだが、喜多のピアノと何か関係あるのだろうか。 そういえば食堂で見かけた亜久津も顔色が冴えなかったから、つい癖で額を寄せたら、「亜久津先輩に何するです〜!」と、後から壇にタックルをかまされた。もう少しで、手にしていたコーヒーをぶちまけるところだった。当の亜久津の方がバツの悪そうな顔をしていた。 しかもそれを健太郎に目撃されて注意された。さすがに俺だって生徒にはしないぞ。まぁ俺からしたら、皆可愛い子供のようなもんだ。そんなことうっかり言ったら、「余計タチが悪い」と怒られるだろうから、それは黙っておいた。これ以上滅入らせたくないからな。妬いてくれたなら、話は別だが。 でも、一緒に昼食をとりながら、何だかんだで色々相談してくれる。俺もそんな南くんを見習って頑張ろう。 毎回ブラックコーヒーを飲んでいると、胃に悪いってミルク持ってくるんだが、これは俺相手だけじゃないんだろう。まぁ、その甲斐甲斐しさがたまらなくもあるけれど。 と、後ろ姿を見ながら物思いに耽っていたら、千石に「雅美ちゃん、目がエロいなぁ〜」ってからかわれた。「東方」で我慢しているのに、どうして千石からは「雅美ちゃん」なんだろうか。 そういえばもうすぐ中間テストだ。期間中は午前中で学校も終わるし、息抜きに健太郎を誘おうかな。何だったら俺の車でドライブでもいい。こっちだって困っている健太郎を目の前にして、手出しできないでいるんだから、会って元気づける位の役割は、与えてもらってもいいだろう? |
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